ChatGPTなどAIと青年海外協力隊の活動の相性ってどうなんだろう?_vol.0016

自分の思惑と違った、ChatGPTの回答

ChatGPTの出現によって、大きく世界が変わったと言われます。AIに仕事を奪われるなど言われるようになり、「自分の仕事は関係ないよな・・・」と根拠のない現実逃避をしていました。
アメリカのマイクロソフト本社で働く日本人エンジニア(牛尾剛さん)の著書を読んでいたときに、ふと青年海外協力隊とAIってどうなんだろう?と思いました。
いくらAIがすごかろうが、青年海外協力隊の現場で見つけた課題などは流石に真似できないよな。きっと、青年海外協力隊が問題を掘り起こし、その解決策案をAIが出すだろうと予測して、その結果を記事にしようと思っていました。

しかしながら、現実はそうはいきませんでした。僕が当時2年間、生活を共にして発見した課題も、ChatGPTはものの10秒で回答してくれちゃいました・・・

男尊女卑が強いバヌアツ共和国のウルピフ島で、女性が外貨を稼ぐためにはどうすればいいですか?

このようにChatGPTに質問した回答がこちらです。

“バヌアツ共和国のウルピフ島で女性が外貨を稼ぐためには、以下のようなアプローチが考えられます。地域の文化や習慣を尊重しつつ、女性が持つスキルや資源を活用する方法を探ることが重要です。

  1. クラフト製品の制作と販売
  2. エコツーリズムの開発
  3. 農産物や食品の販売
  4. オンラインプラットフォームの活用
  5. 教育とスキルトレーニング
  6. マイクロファイナンスの利用

現地の文化や伝統を理解し、それに基づいたアプローチを取ることが、持続的で効果的な収入源を築くための重要なステップとなります。また、地域のコミュニティやNGOとの協力も重要です。”

それぞれの箇所の詳細は省略しますが、丁寧な回答と具体的な取組があり驚きました。
しかも、これって既に各国の支援団体がウルピフ島でやってきていることだけに、ChatGPTのすごさを実感しました。

そしたら青年海外協力隊って行く必要なくね?

って思っちゃいました。「いやいや、そんなわけねーよ。あの2年間はそんなテクノロジーの数秒と代替できるわけないじゃん!!」と反論する自分がいました。ここは譲れないところですし、譲りたくないところです。でも現実は直視しないとなーとゆれ動く中で、ある疑問がでてきたのです?
「『バヌアツ共和国のウルピフ島』いう部分を、ウガンダに変えて再度質問したらどうなるんだろう?」と。
予想は的中しました。回答は、同じものが返ってきたのです。

上記の回答は、まったく知識などがない人がみたら納得しちゃうかもしれませんが、世界中の青年海外協力隊の活動を少しは知っている僕からすると、
「ChatGPTの回答って、発展途上国、における解決策を抽象化したもの」と感じることができたのです。ChatGPTの回答は、抽象的なこと。それに対して、青年海外協力隊の回答は、具体的なこと。この抽象的か具体的か、に差が生まれるのではないかと現時点では至りました。

これらのことから、どちらに優劣があるのかではなく、使い方のバランスを考えていくのが良いかと思いました。

例えば、新しい土地にいき、課題発見をした情報を収集したいタイミングであれば、ChatGPTをつかってアタリをつけて(仮説をもつ)行動してみる。
それをもとに、自分の五感をフルに使って行動し、その結果を検証してみる。

また、最近の自分のChatGPT活用方法としては、OV会の組織運営について投げかけたところ、自分と反対意見をくれました。この反対意見は別な言い方をすれば、別視点の思考、とも言えると思います。僕自身、極端で偏った人間なので、一度決めつけてしまうと、他の視点でみることができなくなります。それでうまくいったこともあれば、失敗したこともある。だからこそ、その失敗から学んだことは、反対意見・別視点の大切さです。

青年海外協力隊は、カウンターパートという同僚をJICAがサポートしてくれますが、どこまでいっても孤独はつきまといます。この孤独はとても大事ですが、時として一眼的な思考回路となることがデメリットです。
そのような時に、自分の課題をChatGPTに投げかけて、抜け落ちている視点がないか、という活用方法は非常に良いかと思います。

特に、抽象的な視点を欲しい、などに役立つと思います。それらの視点をもとに、ご自身の具体的な事案と照らし合わせて、自分なりの模範解答を創り上げていくのが、AIと青年海外協力隊が協力しあえることかと思いました。

ChatGPTなどのAIとの活用方法は、今後の自分の課題として色々模索してみようと思います。