JICAの社会還元を定義してみたいvol.0018

青年海外協力隊にとっての社会還元とは?

青年海外協力隊の任期を終えて帰国すると、「社会還元」という言葉が耳に入ってくる。一般的には、地域や地元・小中学校・高校などに出前講座という名称で、自分の活動報告をしに行くことが思い浮かべる。僕も、高校生に講演をさせてもらったり、OV会の総会で報告させてもらったことがある。

社会起業家という言葉が世に浸透し始めたが、社会課題をビジネスを通じて解決する人たちが増えてきた。その仕掛け人は、ボーダレスジャパンさん。代表の田口さんの書籍やテレビでその活躍を知った。また、ビジネスレザーファクトリーという革製品のショップも全国展開している。僕はこの、ビジネスレザーファクトリーのファンのひとりだ。バングラデシュ人の所得向上という社会課題を、革製品販売を通じて取り組んでいるのだが、そのストーリーを全面に出すことなく、ただ商品の良さで勝負していることにかっこよさを感じた。店内はいつもキレイで、スタッフさんの接客は抜群。そしてなんといってもリーズナブルなのに長持ちするアイテムたち。僕が日常でつかうバックは愛用させてもらっている。正確に言うと、父の日のプレゼントに家族がくれた。もらって嬉しいもののひとつだ。

青年海外協力隊から帰国して、NPOを設立して地域で活躍する人や、株式会社を立ち上げてIPO目指しながら活躍する人が、SNSなどのメディアや、JICAの書籍などで知れ渡るようになった。

社会還元=社会起業なのか?

では、社会還元=社会起業なのかという疑問が一瞬よぎるが、きっとそうではないはずだ。一緒に宮崎のOV会を盛り上げる副会長は、宮崎市役所に勤めながら、外国人の方とのコミュニケーションを積極的に行っている。インバウンドなどで、宮崎も外人観光客が増え始めたこともあり、ご自身の仕事を通じてできることを取り組まれている。特に、アフリカ隊員だったこともあり、アフリカ系の外国人を見かけると話すことが楽しい、とおっしゃる表情から、「協力隊らしいなー」と感じた。
また、外国人が宮崎に移住することも年々増えてきていることもあり、言葉のサポートでお手伝いすることもあるようだ。

そうやって考えると、本業で還元したり、副業で還元したり、余暇で還元したり、様々なタイミングや場所で、協力隊の経験を活かせる場所があり、ひとりひとりの社会還元方法が違ってよくて、違うから楽しいように思うようになってきた。
JICAのホームページには、「JICA海外協力隊として活動した2年間、開発途上国で培われた、自ら課題を見つけ、周りの人々と協力しながら解決していく力。」このようにあった。
僕自身は、「青年海外協力隊は、社会に通用するのか?」ということを自分のテーマとして色々なことに帰国後は挑戦してきた。正直、通用していることもあれば、迷惑をかけていることも多々あり今の時点では、何かを成し遂げたとはいえない。ただ、協力隊マインドからすると、何かを成し遂げるという結果よりも、山あり谷ありの焦らずボチボチと継続していくことが大事なのでは、と帰国して12年が経って思うようになってきた。

「社会還元とは、青年海外協力隊は社会に役立つのかを模索し行動し続けること」これを自分自身の定義として、これからも活動していきたい。

スポットライトを当てることができるOV会の総会

今日の記事を書いて思うことは、話題性のある方の活躍はメディアが取り上げてくれる。では、小さな活動をしている人達は誰が取り上げるのか?もちろん、ご自身でSNSなどで情報発信していたり、取り上げてもらうためにしているわけではないという人もいらっしゃる。
取り上げる、というよりかは、そのような活動を知ってもらいたいという気持ちのほうが強い。そう考えると、OV会の総会はベストな場所に思う。従来の総会は、規定の変更・決算報告など、まるで会議のようだったが、役員交代で、この流れを変えていきたい。ある会員からは、「宮崎で起業しているOVのパネルディスカッションはどうですか?」「カジュアルランチしながら、4エリアくらいに分けて、色々な人の話を聞きたい」など、アイデアをいただいた。
休みの日の半分を、会議室のようなところにこもるより、カジュアルにランチしたり、フリートークをしやすい雰囲気のほうが協力隊らしいと思った。協力隊って、ある意味日本社会から離れたくて海外にでた人、日本社会が合わない人が半数くらいいるわけだから、帰国後の活動も、協力隊っぽく集まれた方が良いのではと思うようになってきた。
宮崎県OV会、令和7年6月の総会は、都城の図書館で行う予定だ。都城の図書館はコミュニティスペースとしても活用できるので、地域を巻き込みながら総会できたら楽しいなーと思った。手を広げたい気持ちをぐっとこらえて、自分ができる小さなことを積み重ねようと思う。